2025年度の事業報告
▽はじめに 2025年度は、米国のトランプ大統領による関税問題に始まり、年が明けてからは、イランへの攻撃を始めて、ホルムズ海峡封鎖を招き、日本をはじめ世界の国々に衝撃と大きな影響を与えました。米価高騰に続き、原油高騰による物価高が国民生活を直撃し、経済にも大きな影響を与えています。政治に目を向けると、自公政権が参院選で大敗し、わが国初の女性総理大臣である高市早苗首相が誕生。2026年頭の突然の衆院解散で、自民党が衆院の定数の3分の2を超える過去最多の議席数を獲得するなど激動の1年でした。米国とイスラエルが始めたイラン戦争は、ウクライナ戦争同様、大国が武力による支配を広げる反国際法的な動きで、今後の東アジアの安全保障にも影響を及ぼしかねない流れになっています。
一方で、インターネットなどデジタル技術の発展と浸透、とりわけAI(人工知能)の興隆は、新しい価値観や文化、産業、考え方を生んでいくと考えられます。こうした革新的な技術の登場は、既存のビジネスルールや市場構造、社会的な前提を根本から覆し、新たな勝ちパターンを生み出す革新的な変化「ゲームチェンジ」を招きます。そうした中、神奈川政経懇話会が設立から59年目に当たる2025年度は、「デジタルネイティブ」と呼ばれる若者らZ世代の文化や行動様式、「活字とデジタル」、AIの可能性や取り組み方などをテーマに講演会を開催しました。また、こうした難しい時代に地元、横浜・神奈川経済界をリードしている経済人に登壇していただき、これからの時代の経営のヒントを語っていただきました。さらに、会員の情報交換や交流の強化を図るため、会員交流会を定例の12月だけではなく、有志による参加費徴収という形ではありましたが、上半期の8月にも実施。講演や会報による目や耳からの学習だけではなく、最先端、最新の施設や技術などの見学・視察も3回開くことができました。
さて25年度も、神奈川新聞社との連携の下、事業の充実や会員の増強に努めましたが最終的には会員減となりました。設立60周年を迎える2026年度も事業の充実、会員増強の活動方針を継続してまいります。25年度は、会員の皆様が出席するリアル形式の講演会を月1回のペースで、計12回開き、ユーチューブによる録画動画の配信も計8回併用し、会場に来られなくとも視聴することができるように務めました。
今後も会員の皆さまにとって役に立つ事業展開と組織運営に注力してまいります。
▽定例講演会は12回開催 幅広い分野から講師を招き毎月開催している定例講演会は神奈川政経懇話会の事業の柱です。2025年度は、ディ・エヌ・エーの創業者で代表取締役会長の南場智子氏(4月)、新しい書店の形態を提案している有隣堂の松信健太郎氏(5月)、2026年移転100周年を迎えるキリンビール横浜工場長の藤原義寿常務執行役員工場長、銘菓ハーバーを復活させたありあけ創業オーナーの藤木久三氏(11月)など横浜を代表する企業人にご登壇いただきました。インターネットの興隆とともに発展したディ・エヌ・エーの南場会長には、AIを使った新規事業の可能性や経営について語っていただき、ありあけの藤木会長には、いかに感動を与えることが大切かを教えていただきました。また、横浜市立大学共創イノベーションセンター長の留目真伸氏(3月)には、同センターが中心となり、横浜で進めているオープンイノベーションの取り組みについて学びました。デジタル文化の浸透と活字文化の衰退について松信社長をはじめ、ベストセラーの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の著者である文芸評論家の三宅香帆氏に見解を伺っています。ライターの稲田豊史氏には、デジタルネイティブであるZ世代が動画を倍速視聴する背景を語っていただき、デジタルが現代人の考え方や習慣、文化に影響を与えていることを解説していただきました。
このほか、自民党総裁選に際して、当選確実視されていた小泉進次郎氏について、神奈川新聞特別編集委員の有吉敏氏に、2027年の大河ドラマの主人公である小栗上野介について万延元年遣米使節子孫の会理事の堀早百合氏に語っていただくなどタイムリーなテーマが扱えたと考えております。
コロナ禍をはさんで中断していました富士フイルムビジネスイノベーションジャパンとの共催で7年ぶりにTOPセミナーを2月に開催しました。アナログフィルム事業から「第二の創業」を経て事業変革を行った富士フイルムグループのAIの知見などを学んだほか、北京オリンピックでオグシオペアとして活躍した小椋久美子氏の体験を聴くことができました。
計12回の定例講演会には延べ17人の経済人や政治家、専門家、ジャーナリストらに講師を務めていただきました。分野ごとに大別すると政治・行政1回、経営・経済6回、歴史・文化3回、科学1回(スポーツ1回)で、共同通信の3部長に新年の政治、経済、外交を分析してもらうシンポジウム(1回)も実施。時機にあった幅広いテーマの定例講演会が開催できたと考えております。
3月の定例講演会で通算1268回の開催となりました。
▽公益事業 本会は、定款に「神奈川県の地域経済及び地域社会の発展に寄与」と目的をうたい、事業に「会員及び一般県民を対象とする講演会、研修会を開催する」となっているため、7月の講演会に県民の招待も実施しました。
近年、台風被害の激甚化が目立っており、今後、スーパー台風の来襲も予見されていることから、台風のメカニズムや激甚化の原因、対応策などについて学ぼうと、地元の横浜国立大学台風科学技術研究センター長の筆保弘徳教授に講演していただきました。当会の公益事業として、県民を無料招待し、会員を含め約100人が聴講しました。ちょうど台風の影響で激しい雨が降るなどしており、雲画像を投影しながらのお話は、とても有意義に感じられたのではないでしょうか。
▽会報は21回発行 年間21回(第2、第4火曜日)発行している会員向け情報誌「政経かながわ」は、2026年3月24日号で通算2255号になりました。定例講演会の詳報や、神奈川新聞編集局幹部が順番で執筆している「視点点描」、県内の経済ニュースをまとめた「かながわTODAY」、景気動向を見る「神奈川景気データファイル」をはじめ、政治、経済、国際、社会、スポーツなどさまざまな分野の旬の話題をお届けしております。年間総ページ数は前年より4ページ増の364ページでした。
会員企業の皆さまの事業などを紹介する記事も掲載しておりますので、ぜひ、ご活用ください。
▽キリンビール横浜工場見学と横浜市立大学オープンイノベーションラボ見学、BASEGATE横浜関内内覧 県内に誕生した新規施設などの見学会を企画していますが、2025年度は、2026年に移転100周年を迎え、さらに同年の酒税法改正で競争激化も予想されるキリンビール横浜工場の見学を同社の協力で実施。また、25年に完成したばかりの横浜市立大学オープンイノベーションラボを見学し、真新しい建物に今後備えられる最先端の実証試験室の特色などを説明していただきました。横浜市庁舎跡に完成したホテル、商業施設、オフィス、ライブ施設などの大型複合施設「BASEGATE横浜関内」の内覧会に、三井不動産から招待を受け、会員20人が高層オフィスやライブビューイングアリーナなどを見学しました。26年度の年度末には、国際園芸博覧会が始まることから、同会場の視察などを企画していきたいと考えております。
▽チャリティーゴルフ 神奈川新聞社と共催で2025年11月7日、横浜市の程ケ谷カントリー倶楽部で、5度目のチャリティーゴルフを開催しました。神奈川政経懇話会会員22人、神奈川新聞社取引関係16人の計38人が参加し、快晴の下、腕を競い合うとともに、社会福祉のために参加者や協賛社の善意計4万7000円を、神奈川新聞厚生文化財団を通じて寄付させていただきました。
▽横浜健康経営認証クラスAA 明治安田生命様のご協力で、2026年度から横浜健康経営認証クラスAAを取得。これまでのクラスAから1ランクアップしました。
(了)

