2026年7月の定例講演会/「世界経済の死角、日本経済の死角」/BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト/河野 龍太郎  氏

「世界経済の死角、日本経済の死角」

日 時 2026年7月9日(木)午後1時30分~3時
会 場 ロイヤルホールヨコハマ5階「リビエラ」
講 師 BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト  河野 龍太郎  氏

 


 BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミストの河野龍太郎氏が9日、横浜市中区のロイヤルホールヨコハマで講演(神奈川政経懇話会主催)し、長期停滞にある日本経済の問題点などを解説し、「物価を上回る賃上げの定着が必要」と強調した。
 演題は「世界経済の死角、日本経済の死角」。不安定な世界経済の現状を説明後、「日本の実質賃金が上がらないのは生産性が上がらないからか?」と問題提起。この四半世紀の間に生産性は3割増えたが、実質賃金はほとんど変わっておらず、「企業の経常利益は5倍、配当は9倍になった」とデータを示した。「近年の日本型コーポレートガバナンスでは、利益は株主還元が優先され、従業員への分配をしなかったから」とし、国内消費も増えなかったという。
 売り上げが伸びない企業は、コストカットのため、正社員のベースアップを凍結し、低賃金の非正規社員を増やした。雇用の4割弱を占めるようになった非正規社員は、コロナ禍で職を失ったり、円安インフレの追い打ちをかけられたり、低所得者層に冷たい社会になった。その結果、財政規律を無視して減税を公約にかかげ大衆の支持を得る政治手法「減税ポピュリズム」がはびこるようになったと続けた。
 河野氏は最近、財界人から「賃上げ、賃上げといわれるが、いくらでも賃上げできる。価格を上げればいいから」と言われたという。「賃上げ以上に物価が上がれば実質賃金は上がらず、物価と賃金の悪循環になる。生み出した付加価値(利益)をきちんと株主と従業員が分ける発想が日本には欠けている」と強調した。

 

 

こうの・りゅうたろう 1987年、横浜国立大学経済学部卒業、住友銀行入行。第一生命経済研究所などを経て2000年、BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト・マネージングディレクター。25年より東大先端科学技術研究センター客員教授を兼務。日経ヴェリタス『債券・為替アナリストエコノミスト人気調査』で、2024年までに11回の首位に。日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査で2023年までに7回、総合成績優秀フォーキャスター(予測的中率の高かった5名)に選出される。
著書に『成長の臨界』、『グローバルインフレーションの深層』等。2025年に上梓した『日本経済の死角 収奪的システムを解き明かす』(筑摩書房)はその年の山本七平賞の最終候補作になった。