2021年9月の定例講演会/総理番記者が見た自民党総裁選/神奈川新聞特別編集委員 総理官邸担当/有吉 敏 氏

演 題:総理番記者が見た自民党総裁選

日 時:2021年9月22日(水)午後1時30分~3時

視 聴:YouTubeによるライブ配信

講 師: 神奈川新聞特別編集委員 総理官邸担当 有吉 敏 氏


 神奈川政経懇話会は22日、9月定例講演会をユーチューブによるライブ配信で開催した。神奈川新聞特別編集委員で首相官邸担当の有吉敏氏が「総理番記者が見た自民党総裁選」と題し、「菅総理、総裁選退場の舞台裏」や「総裁選の行方」「衆院選の展望」を語った。
 有吉氏は、国民的人気が高い河野太郎行政改革担当相が総裁選で勝利するには「(決選投票まで行かずに)党員・党友票の比率が高い1回目の投票で決めることが重要」とし、その理由を「党員・党友の支持は極めて高いが、『かわいげがない』などと長老議員らの受けは良くないから」と話した。
 河野氏は、国民の人気が高い小泉進次郎環境相、石破茂元幹事長の支持を得ており“小石河連合”と評される。支持率の低迷に悩まされた菅義偉首相も支持しており「総裁選は自民党の身内の選挙。その中では現職総理の支持はマイナスではない」と分析した。
 告示翌日の公開討論会では、年金改革などで河野氏に対し、ほかの3候補からの質問が集中したと報じられた。「河野氏への注目度を利用しようしたのではないか。総裁選が河野氏を軸に回っているということ」と強調。ほかの候補者の“河野包囲網”は否定した。
 菅氏の総裁選不出馬については、推測と前置きした上で「9月2日夜、水面下で河野氏とやりとりしたと聞いている。(出馬という)河野氏の決断を受け、総裁をバトンタッチすると決めたのではないか。不出馬表明は次代に託す流れができた結果だろう」と述べた。
 衆院選の自民党の勝敗ラインは「単独過半数(233議席)、(公明党を合わせた)与党では最低261議席」と予想。与党に対抗する野党については「共闘が進んでいるとは言えない。候補者一本化の議論と、政策をどうするかという整理ができていない」と指摘した。

 

 ありよし・さとし 1963年横浜市出身。87年神奈川新聞社入社。国会キャップ、神奈川県政キャップ、横浜市政キャップ、報道部次長兼国会キャップ、経済部長、経営企画局長、横須賀支社長などを経て、2020年10月から現職。政治畑が長く国会キャップを2度務め、小泉純一郎総理や新人の菅義偉氏、野党時代の菅氏や小泉進次郎氏らを取材しました。