2017年11月の定例講演会「最新の朝鮮半島情勢を読む」/拓殖大学大学院国際協力学研究科特任教授・武貞 秀士 氏

日 時  2017年11月13日(月) 午後1時30分~3時

会 場  ロイヤルホールヨコハマ  3階「シンフォニー」

講 師  拓殖大学大学院国際協力学研究科特任教授 武貞 秀士 氏

 


 拓殖大学大学院特任教授の武貞秀士さんが「最新の朝鮮半島情勢を読む」と題して講演。「朝鮮半島で戦争が起きる可能性は、トランプ米大統領のアジア歴訪で低くなっている」と話した。
講演要旨は次の通り。
 ▽ことし9月、参院議員のアントニオ猪木さんから声が掛かり訪朝した。拉致問題、米朝・日朝関係、南北対話、核開発やミサイル発射などについて北朝鮮側はどう説明するか、研究者同士の交流から入手できる情報がある。
 ▽トランプ大統領のアジア歴訪を通じて、北朝鮮に対する米国の姿勢は微妙に変化し、外交的解決を前面に出しつつある。その戦略を考えれば、日本は情報を入手するための地道な努力を、今がやるべき時だと思っている。
 ▽北朝鮮は軍と朝鮮労働党の老幹部に支配されているという見方が一部にはあるが、それは間違っている。伯父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑するほど、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は重要事項を思い通りに決定している。金委員長の権力に挑戦する人はいない。
 ▽米韓関係は、韓国が米中両国と外交で同じ距離をとろうとしているため悪化している。米側には「朝鮮戦争で米国は韓国を守ったのに恩知らずだ」という思いがある。朝鮮半島で戦争が起きることに身を挺(てい)して反対するのは韓国だ。北朝鮮には陸軍の大規模な動きなど、戦争に備えた動きはない。

 

たけさだ・ひでし  1949年神戸市生まれ。77年、慶応義塾大学大学院博士課程修了。防衛省防衛研究所に教官として36年間勤務し、朝鮮半島研究と国際交流を担当した。79年、韓国延世大学韓国語学堂卒業、米スタンフォード大学、ジョージワシントン大学に客員研究員として滞在。91年から1年間、国際交流基金(東京)のプロジェクトで、韓国中央大学国際関係学部教授。2011年、統括研究官として防衛省を退職。11年6月から13年2月まで、韓国仁川市にある延世大学国際学部の専任教授を務めた。14年1月より、拓殖大学海外事情研究所、15年4月より拓大大学院で講義を担当。韓国ソウル市にある東北アジア国際戦略研究所の客員研究員も務める。
 著書に『韓国は日本をどれほど嫌いか』(PHP研究所)、『金正恩の北朝鮮、独裁の深層』(共著、角川学芸出版)、『北朝鮮深層分析』(KKベトスセラーズ)、『恐るべき戦略家・金正日』(PHP研究所)など。『日経ビジネス』などに寄稿するほか、TBSテレビの『ひるおび』、フジテレビの『新報道2001』『プライムニュース』、テレビ朝日の『報道ステーション』、NHKの『日曜討論』などにゲスト出演をしている。