2014年8月講演会「神奈川県の地震危険と備え」/神奈川県地震災害対策検証委員会座長、元東京経済大学コミュニケーション学部教授・吉井 博明 氏

日  時  2014年8月7日(木) 13時30分~15時

場  所  崎陽軒 5階「マンダリン」

講  師  神奈川県地震災害対策検証委員会座長、元東京経済大学コミュニケーション学部教授

吉井 博明 氏


 

 ▽神奈川県の地震対策は、東京オリンピックの年の新潟地震がきっかけ。東大地震研の河角所長の関東大震災69年周期説が追い打ちをかけた。その後、東海地震説、神奈川県西部地震説が登場、1995年に阪神大震災が起きた。そこで県も被害想定を見直し、地震防災戦略を策定した。東日本大震災を受けて津波対策も進めている。
 ▽首都直下地震は6タイプを想定しているが、震源が浅いほど危険だ。活動期に入った可能性が高く、マグニチュード(M)7前後の大地震が発生する確率は高い。県内どこでも覚悟が必要だ。同時に火災延焼、土砂災害が発生する恐れが高い。津波は小さい。関東大震災(M8クラス)の再来は100年以上先と思われる。
 ▽都心南部直下地震の被害想定は、冬の夕方6時、風速8メートルの場合、全壊・焼失61万棟(県内13万6千棟)、死者2万3千人(同5400人)。水道は3割が断水、5割が停電、通信の復旧に1カ月かかるため、避難者は最大で720万人発生する。耐震化など事前対策を施せば、犠牲者は激減する。そのために火災新法が必要だ。
 ▽南海トラフの巨大地震も想定されている。どこで起きるかが問題だが、鎌倉、逗子では8メートルの津波が来る恐れがある。弱い揺れでも1分以上続いたら津波来襲を考え、高台に避難することが肝要だ。冬の深夜に発生した場合、死者2900人の想定だが、夏の昼ごろに早期避難すれば死者はほとんどいない。