「タイパ化する世の中~倍速視聴から考えるZ世代のトリセツ」
開催日 | 2025年6月19日(木)午後1時50分~3時 |
会 場 | ロイヤルホールヨコハマ5階「ピレネー」 |
講 師 | ライター・コラムニスト 稲田 豊史 氏 |
ライター・コラムニストの稲田豊史氏が19日、横浜市中区のロイヤルホールヨコハマで講演(神奈川政経懇話会主催)し、動画や映像の再生速度を速めて視聴する「倍速視聴」を行うZ世代(大学生・新人社員から20代後半)の考え方やその背景について解説。こうした世代とのコミュニケーションには「結論を先に提示する」「シンプルに手早く伝えないと受け取らない」などとアドバイスした。
「タイパ(タイムパフォーマンス=時間対効果)化する世の中~倍速視聴から考えるZ世代のトリセツ(取り扱い説明)」と題して講演。昨年3月の民間調査で20~60代での倍速視聴の経験者は47%と3年で12.6ポイント上昇し、他の世代にも広がっていると説明。対象はドラマが1位で、「金を払っているのだからどう見ようが勝手」などと、「作品の鑑賞」ではなく「コンテンツの消費」へと変化しているとした。
背景には、(1)定額制動画配信サービスや無料メディアの増加による供給過多(2)タイパを求める人の増加(3)暗喩や寓意(ぐうい)、「言外の意味」などが理解できない若者が増えたため、せりふで全てを説明する映像作品が増えた─からという。交流サイト(SNS)で話題に反応するための「共感強制力」が働き、多くの作品を見なければならなくなったためとした。
また、Z世代は「失敗したくない」「効率的に成長しなければ置いていかれる」という強い焦りがあり、「正解」を求める指示待ち集団になっていると強調していた。
いなだ・とよし 横浜国大卒。専門分野は、メディア論、世代論、エンターテインメントビジネスなど。1997年、映画配給会社ギャガ・コミュニケーションズ(現・ギャガ)に入社 。98年、同社出版部門(2000 年にフットノートとして独立分社、08年にキネマ旬報社と合併)へ異動。ゲームショップ向け業界誌の編集記者、DVDセル店向け業界誌の編集記者、同誌編集長。2010年よりキネマ旬報社で一般書籍・ムックを企画・編集。2013年に独立。
著書に『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ―コンテンツ消費の現在形』 (光文社新書)など。