2022年11月の定例講演会/「メタバースとは何か」/中央大学国際情報学部教授/ 岡 嶋 裕 史   氏

講 師 中央大学国際情報学部教授    岡 嶋 裕 史   

演 題 「メタバースとは何か」

日 時 2022年11月24日(木)午後1時30分~3時

会 場 パーティー会場メルヴェーユ (県民共済プラザビル6階「ヴァランセ」


 神奈川政経懇話会は24日、11月定例講演会を横浜市中区の会議場メルヴェーユで開催した。「メタバースとは何か」と題し、中央大国際情報学部の岡嶋裕史教授が講演。インターネット上につくられた仮想空間「メタバース」について、「既存のビジネスモデルを破壊する可能性があり、備えが必要」と呼びかけた。
 岡嶋氏は、メタバースを「現実とは少し異なるロジックでつくられ、自分にとって都合がいい快適な世界」と定義。現実社会では格差や差別、人間関係など何らかの不満があるが、スイッチを入れて居心地のいい仮想世界に「異世界転生」していくとした。
 その上で、経済格差のある国では富裕層の子はモータースポーツができるが、それ以外はサッカーをすると例示し、「仮想世界ならお金をかけずにモータースポーツができる」と説明。人の表情を読み取ることが苦手な自閉症の人でも、「『アバター』(自分の分身)を使えば円滑にコミュニケーションができる」とも述べた。一方、デメリットとして現実の恋愛に興味がなくなり少子化が進むとの見方を示した。
 また、エンターテインメント業界の収入源だったCDやDVDがコピーで減少したことを踏まえ、コピーできない“体験”商法が生み出されたと指摘。握手の回数を増やせるようアイドルのグループ化が進んだとし、「デジタル技術の進展はビジネスモデルの転換を不可避にする」と備えを呼びかけた。

 

おかじま・ゆうし 1972年生まれ、東京都出身。中央大学大学院総合政策科博士後期課程修了。博士(総合政策)。富士総合研究所勤務、関東学院大学経済学部准教授・情報科学センター所長を経て、現在、中央大学国際情報学部教授。

『ジオン軍の失敗』(角川コミック・エース)、『ハッカーの手口』(PHP新書)、『メタバースとは何か-ネット上の「もう一つの世界」』(光文社新書)など著書多数。