2021年7月の定例講演会/「論語と算盤」と信用金庫経営-経営の本質は経営者自らの中にある-/かながわ信用金庫理事長/ 平松 廣司 氏

演 題:「論語と算盤」と信用金庫経営-経営の本質は経営者自らの中にある-

日 時:2021年7月12日(月)午後1時30分~3時

会 場:崎陽軒本店4階「ダイナスティー」=横浜駅東口

講 師: かながわ信用金庫理事長 平松 廣司 氏


 神奈川政経懇話会は12日、7月の定例講演会を横浜市西区の崎陽軒本店で開催した。かながわ信用金庫理事長で渋沢栄一研究に取り組む平松廣司氏が「『論語と算盤(そろばん)』と信用金庫経営─経営の本質は経営者自らの中にある」と題して講演。日本近代資本主義の父などと称される渋沢の思想について「実学を重視し、政治家や軍人よりも経済人を優位とした」と評した。
 多くの実業と社会事業を興した渋沢は著書「論語と算盤」で、利益追求が企業の目的であっても、根底には(論語が示す)道徳が必要という「道徳経済合一説」を表現した。平松氏は「企業が利益を上げることと、社会的責任を果たすことは一体という考え。渋沢は政商は不健全だと目標にしなかった。財閥もつくらなかった」と話した。
 渋沢は商業発展のため多くの商業学校設立に力を注いだことでも知られる。1882年に公立商業学校として全国で2番目に設立されたY校(横浜市立横浜商業高校)もその1校で、平松氏は「渋沢は設立に直接は関与していないが、1910年3月にY校で演説し、『生糸を中心に世界に出て行きなさい』と学生を激励した」と横浜との関わりを紹介した。
 こうした渋沢研究を通して「変革の必要性などを学んだ」とし、2014年に理事長として三浦藤沢信用金庫からかながわ信用金庫に社名を変更したことを引き合いに「リーダーの使命はいつも変革の心を持つこと」と強調した。

 

 ひらまつ・ひろし 横須賀市出身。1972年にかながわ信用金庫の前身である三浦信用金庫に入庫。常務理事、専務理事などを経て、2008年理事長に就任しました。横須賀商工会議所会頭も務めています。ライフワークとして渋沢栄一(1840‐1931)の研究を続けています。