2021年6月の定例講演会/コロナ禍で迎える東京五輪・パラリンピック/共同通信社オリンピック・パラリンピック室長/ 小林 伸輔氏

演 題:コロナ禍で迎える東京五輪・パラリンピック

日 時:2021年6月30日(水)午後1時30分~3時

会 場:横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ5階「日輪」=横浜駅西口

講 師:共同通信社オリンピック・パラリンピック室長  小林 伸輔 氏


 神奈川政経懇話会は30日、6月の定例講演会を横浜市西区の横浜ベイシェラトンホテル&タワーズで開催した。共同通信社オリンピック・パラリンピック室長の小林伸輔氏が「コロナ禍で迎える東京五輪・パラリンピック」と題して講演。新型コロナウイルス変異株の感染拡大やチケット再抽選などの課題を挙げながら、「緻密な運営ができる日本でないと成功は難しい」と述べた。
 県内で28日から3日間の日程で行われた聖火リレーの公道開催が中止されたことに触れ、「聖火リレーが始まると五輪ムードは一気に高まるものだが、コロナ禍ではそうはなり得ない」と指摘。また、▽女性蔑視発言で大会組織委員会会長が辞任▽女性タレントの容姿を侮辱する演出の提案▽会場での酒類販売計画─といったコロナ禍以外の「逆風」もあったとし、「東京大会のイメージ悪化と世間の反発を招いた」と述べた。
 その上で「これまでの五輪とは異なり、選手、スタッフ、報道関係、観客にとってはさまざまな決まり事や制約が多くなる。開催には最大限の理解と協力が必要だ」と強調。「日本人の粘り強さやきめ細かさが生きれば、東京大会はなんとか成功するのではないか」と期待感を示した。
 将来の五輪像については「コロナ禍が改革のきっかけになる」との見方を示し、「競技数の縮小や開会式の簡素化など、拡大路線からの転換点になるかもしれない」と話した。

こばやし・しんすけ 1964年神奈川県出身。87年上智大学外国語学部卒業後、共同通信社入社、運動部に配属。ニューヨーク支局、ロンドン支局、運動部デスクなどを経て2014年運動部長。20年から現職。1996年アトランタ五輪で初めて五輪取材、2018年平昌冬季五輪まで夏冬計10大会を記者、デスクとして現地で取材した。現在、1年延期になった東京五輪・パラリンピックや22年北京冬季五輪・パラリンピックに向けた共同通信社の報道態勢の構築、IOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)との折衝などに当たっている。