2021年2月の定例講演会/仕事への誇り・使命感~福島第一原発事故復旧の現実~/関電工特別顧問/山口 学 氏

演 題:仕事への誇り・使命感~福島第一原発事故復旧の現実~

日 時:2021年2月15日(月)午後1時30分~3時

会 場:ロイヤルホールヨコハマ2階「ヴェルサイユ」⇒YouTube配信に変更

講 師:関電工特別顧問 山口 学 氏


 神奈川政経懇話会は15日、2月定例講演会をユーチューブのライブ配信で実施した。関電工特別顧問の山口学氏が「仕事への誇り・使命感~福島第一原発事故復旧の現実~」と題して講演。2011年3月の原発事故について、「日本がおかしくなってしまいそうな中で、現場では命を懸けた壮絶な戦いがあったことを、一人でも多くの人に知ってほしい」と訴えた。

 山口氏は二宮町生まれ。大学卒業後、東京電力に入社。茨城支店長、取締役神奈川支店長などを経て、05年から12年まで関電工社長を務めた。福島原発事故では現場に赴き、実態の把握と復旧作業に当たる従業員を激励するなどした。
 福島原発は、東日本大震災の津波被害で電源を喪失。冷却機能を失い、震災翌日の3月12日に1号機建屋、14日に3号機建屋で水素爆発が起きた。現場の人手不足は深刻で、山口氏は「家族や自宅のことを心配しながら駆け付けた従業員もいた」と明かした。
 復旧に不可欠な外部電源確保は困難を極めた。被害を免れた東北電力の送電線から構内の仮設配電盤まで約1.7キロに及ぶケーブル敷設作業では、「現場は爆発していたため大変な放射線量。1人が作業できるのは20分ほどだった」と振り返った。
 「自分たちがつくった設備を自分たちが守らなくて誰が守るのか、という言葉が忘れられない」といい、「これが仕事への誇り・使命感だと思う」と述べた。
講演会は横浜市中区のロイヤルホールヨコハマで撮影、配信した。

 

やまぐち・まなぶ 1946年二宮町生まれ。二宮町立二宮小学校、湯河原町立湯河原小学校、湯河原町立湯河原中学校、県立小田原高等学校、法政大学法学部卒業。68年東京電力株式会社に入社。茨城支店長、取締役神奈川支店長などを歴任し、2005年から株式会社関電工代表取締役社長、12年から代表取締役会長に就任し、17年から現在まで特別顧問として活躍している。

福島第一原発事故 2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波により、東京電力福島第一原子力発電所で電源喪失、冷却機能喪失が発生、放射性物質が大気中に放出した事故。廃炉に向けた取り組みが進む。