2019年6月の定例講演会/自然災害に備えよう~台風、豪雨、猛暑~/気象予報士・防災士/平井信行 氏

日 時 2019年6月14日(金) 午後1時30分~3時

会 場 崎陽軒本店5階「マンダリン」=横浜駅東口すぐ

講 師 気象予報士・防災士 平井信行 氏


 気象予報士・防災士で、NHKテレビで気象キャスターを務める平井信行さんが「自然災害に備えよう~台風、豪雨、猛暑~」と題し、防災や気象のクイズを交えながら講演。今年夏の気候について「湿度が高く蒸し暑くなる。熱中症に注意が必要だ」と話した。
 講演要旨は次の通り。
 ▽5月は記録的な暑さだった。北海道佐呂間町で39.5度を記録。横浜でも26日に31.3度となり、5月としては観測史上最も高い記録を更新した。南の海上の、上空にまで及ぶ背の高い高気圧が列島をゆっくり東に移動したからだ。ゆっくりだと晴れが続き蓄熱効果が出る。フェーン現象もあった。
 ▽神奈川の天気予報の的中率は88%。夏から初秋にかけて的中しにくく、秋の終わりから冬にかけては当たりやすい。冬はほぼ毎日晴れ、夏場はゲリラ豪雨など突発的な雨が降るからだ。雷は音が聞こえたら建物などに避難すべき。音が聞こえる範囲に落雷は起きる。
 ▽防災情報は高度化が進む。気象庁はホームページのトップページに浸水害、土砂災害、洪水害の危険度分布を1キロメッシュで表している。東京・世田谷で大雨が降った時、神奈川の一部も含めてどこが危ないのか一目で分かる分布図を公開しているので活用してほしい。垂直避難では土砂災害や洪水害は上の方が、竜巻は下の方が安全だ。
 ▽地球温暖化は温室効果ガスの増加と都市化の進展が原因だ。この100年で日本の都市化の影響のない地点の平均気温は温室効果ガスの影響で1.2度上昇したが、横浜は1.8度。0.6度の差は都市化が影響している。東京は3度上昇した。昨年の横浜は猛暑日7回、夏日134回でともに歴代最多、熱帯夜は47回で歴代2番目、最高気温は7月23日の37.2度で歴代3番目だった。

 

ひらい・のぶゆき 1967年熊本県出身。91年東京学芸大学教育学部卒業。同年日本気象協会(~2003年3月)、04年NPO法人気象キャスターネットワーク代表(~09年12月)、05年からNPO法人富士山測候所を活用する会理事、06年株式会社ウイング、08年同取締役気象情報部長、14年同常務取締役気象情報部長。96年4月からNHKテレビ気象キャスターを務める。
気象予報士の地位向上を目的に03年に独立。気象予報士を各自治体に配置することが防災につながると訴える。マラソンなどスポーツを愛する体育会系気象予報士。日本一過酷ともいわれる富士登山競走を10回以上完走し、マラソン大会のゲストランナーとして走ることの楽しさも伝える。気象キャスターになるのが子供の頃からの夢。小学校教師の免許を持ち、学校に出向いて天気や地球環境、夢を持つことの大切さなどの授業も行う。
著書に「天気予報はこんなに面白い!」(角川書店)、「天気質問箱」(NHK出版)。