2017年7月講演会「最近の金融経済情勢について」/日本銀行横浜支店長・播本 慶子氏

日 時  2017年7月19日(水)    午後1時30分~3時

場 所  ロイヤルホールヨコハマ     5 階      「リビエラの間」

講 師  日本銀行横浜支店長   播本 慶子 氏


 

 ▽2016年半ば以降の海外経済の好転を受けた生産、輸出の回復が県内経済にも好影響を与えている。自動車などの輸送用機械、電気機械関連などの生産の好調に加え、国内外の設備投資や公共工事、東京オリンピック・パラリンピック関連の建設需要の増加もあって、6月の県内企業短期経済観測調査(短観)は4期連続で改善した。
 ▽県内企業の16年度の設備投資額は、全産業では前年度比で3割近く増加した。17年度は製造業でさらに2割ほど増加する計画になっている。高い利益率を維持するなかで支出面で前向きな循環が強まっている。他方、非製造業では個人消費は底堅いが、人手不足の影響や既存の小売業とインターネット通販との競合の強まりへの懸念などが指摘されている。
 ▽パート労働者の時給が増え、中小企業の賃金も上向くなど、人手不足解消のため賃金上昇圧力が高まっている。ここ数年の所得の伸びは、女性や高齢者の労働参加を通じた雇用者数の増加による面が大きい。県内では出産・育児期の離職率は高いが、女性の労働力率は改善が進む。女性、高齢者とも潜在的な労働力の活用が望まれる。
 ▽中小企業向けなど金融機関の貸し出し姿勢は引き続き極めて緩和的な環境にある。県内金融機関の貸し出しは、堅調な住宅投資を背景に不動産向けを中心に増加が続いており、設備投資関連やインバウンド(訪日外国人)観光関連など資金需要の広がりもみられる。積極的な姿勢は企業の景況感を下支えしている。生産性の向上など成長に向けた企業部門の持続的な取り組みが続くなかで、相応なリスク管理を伴った金融仲介機能が発揮されていくことを期待している。

 

はりもと・けいこ 1967年福岡県出身。91年東京大学法学部卒業後、日本銀行に入行。95年カリフォルニア大学バークレー校法学修士(LL.M.)コース修了。2001年ニューヨーク事務所駐在、03年考査局調査役、05年金融機構局企画役、06年発券局企画役、09年金融研究所企画役、11年決済機構局企画役、13年決済機構局決済システム課長、15年総務人事局総務課長、16年総務人事局参事役、同8月から現職。