2016年8月講演会「夢と絆~拉致が奪い去ったもの」/新潟産業大学経済学部准教授・ 蓮池 薫氏

日 時  2016年8月25日(木) 午後1時30分~3時

場 所  横浜情報文化センター 6階 「情文ホール」

講 師  新潟産業大学経済学部准教授    蓮池 薫 氏

 


 

 ▽日朝は2年前、「ストックホルム合意」を実現した。盛り込まれたのは(1)拉致(2)日本人妻(3)遺骨発掘(4)残留日本人-の四つの問題の解決だが、進展はなかった。そもそも、北朝鮮が四つの問題解決を出してきたのは、他の解決を進めることで拉致問題を適当に処理してしまおうという狙いがあったように思う。北朝鮮が出した拉致問題の報告書は受け入れられるものではない。横田めぐみさんは1993年3月死亡といってきたが、94年3月まではわれわれと一緒に同じ地域にいた。
 ▽拉致の目的を考える時、北朝鮮の誰が拉致したのかが重要な問題になってくる。秘密機関は軍にも労働党にもある。私を拉致したのは党の対外情報調査部だった。この機関は78年に集中的に、工作員にするため日本人9人を含め海外から大勢の若者を拉致した。
 ▽私が拉致されたのは、当時付き合っていた妻と海岸でデートの最中だった。拉致グループはわれわれにターゲットを定めたのだろう。中年の男が流ちょうな日本語で「たばこの火を貸してほしい」と近づいてきた。その直後に数人の男に殴られた。2人とも袋に入れられ工作船で北朝鮮に連れて行かれた。
 ▽北朝鮮に子どもを残して帰国した。1年半後に子どもが帰国した日が、私と妻が本当に日本に帰ってきた日といえる。いまだに残されている被害者が、家族や子どもと引き裂かれることなく帰国できるよう問題を解決してほしい。われわれが帰国してから14年間待たされている。日本政府は最優先課題といっているわけだから、一歩踏み込んで解決してほしい。それには多くの方々の後押しが必要だ。