2016年6月講演会「参院選と安倍政権の行方」/政治アナリスト・伊藤 惇夫氏

日 時  2016年6月2日(木) 午後1時30分~3時

場 所  横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ 4階 「浜風」

講 師  政治アナリスト    伊藤 惇夫 氏

 


 

 ▽消費増税が再延期された。前回、増税延期を決めたとき、「再び延期することはない」として衆院選で信を問うたのだから、増税は間違いなく政権公約だ。しかし、世界経済が危機に陥ることを回避するためという“新しい判断”で増税を延期するならば、公約の重みはなくなってしまう。参院選で有権者がどう判断するかだ。
 ▽安倍首相の究極の目標は憲法改正だろう。今度の参院選の目標は改選議席の過半数と言っているが、本音は改憲勢力で3分の2を獲得することだと思っている。政権が憲法改正を目指しているなら、改正憲法の全体像を示すべきだ。全体像を推測できるのは2012年の自民党の憲法改正草案だけだが、権利を制限し義務を増やすなど問題点を多くはらんでいる。
 ▽参院選では与党が議席を増やし、野党は減らすだろう。野党には内閣不信任案に反対したおおさか維新の会と日本の心を大切にする党は含まない。ことし1月時点では改憲勢力が3分の2に達する情勢だったが、風向きが変化している。一つ目は一強政権の緩みやたるみ、おごりの影響、二つ目は野党の統一候補擁立が進んだこと、三つ目は無党派が動き始めたことだ。
 ▽参院選は本来、政権選択の選挙ではない。政権の中間評価のようなものだが、今度ばかりはそうではない。安倍首相が悲願の憲法改正に大きく踏み出すのか、立ち止まるのかを問う選挙になる。これまでの参院選に比べ重い。3分の2に届かなければ、3年後の次回参院選前に任期切れとなる安倍首相の下では、憲法改正はできなくなる。