2016年5月講演会「最近の金融経済情勢について」/日本銀行横浜支店長・岩崎 淳氏

日 時  2016年5月12日(木)    午後1時30分~3時

場 所  ロイヤルホールヨコハマ 5階     「リビエラ」

講 師  日本銀行横浜支店長       岩崎 淳氏

 


 

 ▽百貨店の売上高をみると、美術、宝飾、貴金属の高額品の売り上げが、全体の数字を上に引っ張っていた。神奈川では昨年春ごろから下に引っ張るようになった。全国との違いの一つはインバウンド(訪日外国人)の存在。銀座などの百貨店の売り上げと比べ神奈川は高くない。株価下落も消費者に影響している。
 ▽新設住宅着工戸数をみると、マイナス金利政策で住宅ローンの金利が下がっており、初めて家を購入する一次取得者の動きが活発化している。家を買うと冷蔵庫も洗濯機もクーラーも一緒に買うので、家電分野にも効いてくる。
 ▽4月時点の日本銀行の経済・物価見通しでは、実質国内総生産(GDP)は15,16年度とも下方修正し、プラス0.7%、同1.2%となった。消費税率引き上げを前提にすると17年度は大きく落ち込みプラス0.1%を予測している。日銀は2%の物価上昇を目指して金融緩和をしている。原油価格の下落が影響して達成できていないが、価格が安定すると17年度には、消費税率引き上げの影響を除いても目標に近い1.7%になると見込んでいる。
 ▽マイナス金利政策は「質」「量」「マイナス金利」の三つの次元で追加緩和可能なスキーム。日銀の当座預金に金融機関が預ける預金にマイナス0.1%の金利を適用し、大規模な長期国債買い入れと併せ金利全般に下押し圧力を加える。マイナス金利が評価されないのは結果を残していないからだ。原油価格の下落や海外の金融当局のけん制発言などもあり円安・株高にいかなかった。