2026年1月の定例講演会/なぜ働いていると本が読めなくなるのか/文芸評論家/三宅 香帆 氏

なぜ働いていると本が読めなくなるのか

開催日 2026年1月15日(木)午後1時30分~3時
会 場 神奈川新聞社12階大会議室=JR関内駅から徒歩8分
講 師 文芸評論家  三宅 香帆 氏

 文芸評論家の三宅香帆氏が15日、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」と題した講演(神奈川政経懇話会主催)を神奈川新聞社で行い、読書をすることで養われる「新しいアイデアの創出」「他者への想像力」などを挙げ、その大切さを強調した。
演題は、2024年の年間ベストセラーとなり、これまで30万部を売り上げ、新書大賞2025を受賞した同氏の著書名。文化庁の調査によると「16歳以上の6割以上は1カ月に1冊も本を読まない」など読書離れが進んでいる。仕事をしていると疲れて本が読めないのかと言うと、もっと労働が過酷だった明治から戦後にかけて、「本=教養」として、エリート階層として働くための必須項目として、両立されていたと分析。1990年以降、働き方の多様化とインターネットの普及により、「現代の労働に役立つのは知識ではなく、情報になった」と強調。情報とは、自分の知りたいことで、ネットの検索で効率よく得られるのに対し、読書で得られるのは知識で、情報だけではなく、「ノイズ」(自分の知りたいことの背景文脈や周辺知識)が伴うため、情報を得るには非効率だと思われるようになったという。
「実はこのノイズが大切で、これがなくなると、新しいアイデアを思いつかなくなったり、他者への想像力がなくなったりする」と三宅氏。そのために、「全身全霊ではない働き方が必要」といい、仕事以外の友人や趣味の時間をつくることなどが大切だと呼びかけていた。

 

みやけ・かほ  京都大学文学部卒業。京都大学人間・環境学研究科修士課程修了。株式会社リクルート入社。2022年独立。
著書に「新書大賞2025」を受賞した「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」のほか、「『好き』を言語化する技術」「(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法」「文芸オタクの私が教える バズる文章教室」「人生を狂わす名著50」など。
1994年高知県出身。