1860年の日米通貨交渉
~ 小栗上野介と万延元年遣米使節団 ~
開催日 | 2025年10月9日(木)午後1時30分~3時 |
会 場 | メルヴェーユ6階「ヴァランセ」 JR桜木町駅から徒歩(みなとみらい21地区の県民共済プラザビル内) |
講 師 | 一般社団法人 万延元年遣米使節子孫の会理事 堀 早百合 氏 |
2027年のNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」の主役で、日本の産業革命の礎を築いた小栗上野介忠順(1827~68年)の功績を紹介する講演会(神奈川政経懇話会主催)が9日、横浜市中区の会議場メルヴェーユで開かれた。優秀な幕臣で「幕末の三俊」の一人、小栗を「信念やビジョンを持っていて、今の時代にこそ、こうした人物が求められている」とたたえた。
講演したのは、万延元年遣米使節子孫の会(横浜市西区)理事の堀早百合さん。同使節団は、江戸末期の日米修好通商条約の批准書交換のため派遣された、小栗を含めた77人。小栗らは、同条約の通貨問題を解決する密命も帯びて渡米し交渉したものの主張は認められず、日本の物価高、幕府の滅亡へとつながっていった。
しかし、この使節団が「日本の産業近代化のきっかけにつながった」と堀さん。ワシントン海軍工廠(こうしょう)などを見学した小栗が、「日本も外国から軍艦を買うのではなく、大型船に対応した造船所が必要」と横須賀製鉄所(のちの造船所)建設を主張。財政難から反対の声も多かったが、「(完成する頃には幕府はどうなっているか分からないが)日本のため、国益になる」と押し切り、160年前に建設を始めた。
「ここで培われた技術や文化が富岡製糸場の設計などにつながり、まさに日本の産業革命始まりの地となった」と堀さんは強調した。「27年は小栗生誕200年の年でもある。これまであまり紹介されなかった幕末の歴史の裏側を知っていただけたら」と呼びかけていた。
万延元年遣米使節子孫の会 日米修好通商条約の批准書交換のため、江戸幕府が1860年、米国に派遣した使節の子孫を中心に設立。主たる事務所は横浜市内にあり、同使節の史実とその意義を正しく伝えることなどが目的。
堀 早百合(ほり・さゆり) 同使節の勘定方責任者を務めた勘定組頭・森田岡太郎清行6代子孫、昌平坂学問所教授・友野霞舟7代子孫。早稲田大学法学部卒業後、大手金融機関入行。金融機関の業務経験を踏まえ、日本にとって開国後初の公式外交である万延元年遣米使節団の歴史的意義、日米通貨交渉からみる「お金」の本質に関して、歴史・経済団体向けに講演活動を行う。