2015年1月講演会「小さな旅して~人との出会いと発見」/フリーアナウンサー、元NHKアナウンサー・国井 雅比古氏

日 時 2015年1月26日(月) 14:00~15:30

場 所 横浜情報文化センター 6階「情文ホール」

講 師 フリーアナウンサー、元NHKアナウンサー 国井 雅比古 氏

 


 

 ▽小さな旅を担当して、この3月で9年になる。1チーム6人が10泊11日で取材している。アナウンサーだけが3泊4日。全国に行くため、おいしい物を食べていい思いをしているといわれるが、これは大きな誤解。早朝には宿を出て、帰りは夜9時すぎ。とにかく大変です。日本は広い。行くたびに発見があり、楽しみは人に会うことだ。
 ▽新潟の福島県境にある小さな集落での話。5月中旬に行う杉起こしの作業の取材に行った。雪の重みでかしいだ杉の木を一本一本起こしていく。老夫婦が午前中頑張って、6~7本。聞くと売れるようになるのは50~60年先という。自分たちの利益にもならない作業。老夫婦は皆がやってきたことだ、とこともなげに言うが、働くことの素晴らしさを感じた。
 ▽福島県相馬での「船迎え」の取材。一昼夜の底引き漁を終えて帰ってきた船を出迎えるのが女性たち。船から魚をあげ、市場に運ぶ。港は明るくたくましい女性たちの活気に満ちていた。そこには家族同様の地域共同体が出来上がっている。震災前の取材だったが、活気が戻ってほしい。
 ▽去年、茨城から東銀座に行商に来ているおばあちゃんの取材をした。23歳の時から61年間、野菜が詰まった40キロの荷物を担いで朝6時に新橋につく。いつも同じ場所で7時から10時まで商売。向かいのアパートで親の介護をしている女性は、いつも変わらない姿を見て励まされた。変わらないことのすごさだと思う。