2022年度事業計画

▽はじめに

1966年4月19日に神奈川新聞社の一部門として誕生した神奈川政経懇話会はことし56周年を迎え、全国の地方紙に設置されている政経懇話会では最も古い歴史を持ちます。国の公益法人改革を受け、2012年4月、一般社団法人に移行しました。この時に資産と認定された公益目的財産を、9年間でゼロ以下にする公益目的支出計画(昨年、延期が認められ10年間)の作成を課せられ、神奈川県に提出し認可を受けました。期限である22年3月31日までに公益目的財産をゼロ以下にすることができ、本年6月には公益目的支出計画の完了確認請求を行う予定です。2022年度からは、より自由度の高い事業展開が行えることになります。

会費で運営される神奈川政経懇話会にとって会員数の増強は組織運営の基盤強化につながり、さらに事業の充実を図る上で最重要事項となります。このため、神奈川新聞社の協力の下、個別勧誘活動を行うなど、会員数の増強に力を入れております。2022年度も神奈川新聞社との連携をさらに強化し、会員の皆様にとって魅力ある事業展開、組織運営に注力してまいります。

2022年度の講演会は、新型コロナの感染状況を見極めながらではありますが、できる限り会員が出席するリアル方式での開催を模索していきます。一方で、直接会場までお越しいただく手間をお取らせしないオンライン方式も、定着してきましたので、併用などを可能な限り模索してまいります。

さて、2022年度の国内は、これまでのウィズコロナで集積した知見を生かし、経済活動や社会活動、市民生活の活性化が前年度にも増して期待される年になりそうです。弱毒化、感染力の強力化など変異を続ける新型コロナに対し、ワクチン接種の拡大、飲み薬の開発などで、新たな対応段階の局面を迎える可能性もあり、注視していきたいと思います。

こうした中、県内では11月に「ねんりんピックかながわ2022」が26市町を会場に開催されるほか、相鉄線・東急直通線の開通(23年3月)が予定。日本の鉄道開業(新橋~横浜間)150周年、小泉純一郎氏と金正日氏による日朝首脳会談から20周年、憲法施行75年などの周年イベントも話題になりそうです。

政局に目を向けますと、最大の注目は夏の参院選です。7月10日投開票が有力視されており、神奈川選挙区(定数4)では補欠を含めた合併選挙で計5人を選出。これを乗り切ると衆院を解散しない限り3年間は国政選挙がないため、岸田政権は憲法改正論議を本格化させる可能性もあります。

経済では、新型コロナの影響からの脱却、円安による物価やコスト上昇、依然続く半導体不足、原油高、人手不足などが課題になります。

国際社会では、ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、北朝鮮のミサイル問題、中台関係など、不安や緊張が高まる状況が続いています。中間選挙が行われる米国のバイデン大統領、異例の3期目に入ろうとしている中国の習近平総書記(国家主席)は慎重な政権運営を行うとみられていますが、予期せぬきっかけで衝突が起きるかも知れないのが国際社会です。

こういう不安定な時代だからこそ、神奈川政経懇話会では会員のご期待に応えるべく、タイムリーで的確な情報を「目で伝える」会報や、「耳で伝える」講演会、「体で感じる」視察事業などを通じてお届けしていきます。また、これからも会員の皆様の声に耳を傾け、ご満足いただけるよう事業内容の改善にも努めてまいります。

 

▽定例講演会の開催

神奈川政経懇話会の事業の軸は、幅広い分野から講師を招いて毎月開催する定例講演会です。

【2022年度】リアル講演会を基本とし、状況によってオンライン講演会に切り替えるなど、引き続き新型コロナの感染状況を見極めながら柔軟に対応し、年間10~12回開催していきます。開催に当たっては、評論家やジャーナリストだけではなく、地元首長や政治家、国内外で活躍する経済人など神奈川ならではの講師も招き、会員企業・団体にとって経営や運営のヒントにつながるような講演会にしていく方針です。2021年度では2月に菅義偉前首相にご講演をいただきましたが、2022年度は大臣や政令市長の講演会を交渉中で、準備が整い次第ご案内いたします。「こういう人の講演を聞きたい」「こんなテーマで講演会を開催してほしい」という要望があれば事務局にお寄せください。

定例講演会は時局に応じたタイムリーな話題をお届けできるよう心掛けており、講師や演題は開催1カ月~1カ月半前の案内になります。会場選定にあたっては、これまで通り会員ホテル・ホールを中心としながらも、公立施設なども活用してまいります。新型コロナ対策として2020年度から取り入れたオンライン講演会は、講師によっては断られるなど難しい面もありますが、リアル方式の代替や補完のため、引き続き取り組んでまいります。新型コロナの感染状況によっては、開催方法の変更などが考えられます。会員の皆様にはご理解とご協力いただきますようお願いいたします。

 

▽会報の発行

年間21回発行している会報「政経かながわ」は、2022年3月22日号で通算2159号になります。誌面は、神奈川新聞社編集局幹部が輪番で執筆する「視点点描」、定例講演会の詳報、県内の景気動向を見る「神奈川景気データファイル」のほか、共同通信社から記事を購入している政治、経済、文化各分野等の旬の情報、身近な話題の「くらし2022」、最新の技術や商品等を紹介する「企業最前線」などで構成されています。地元神奈川の経済ニュースなどを集めた「かながわTODAY」を1月にスタートしたほか、会員の事業活動、新商品、人事などの情報を紹介する「会員コーナー」も拡充してまいります。

 

▽国内視察事業

横浜市内に3月完成の国内初の建築物の視察を5月に実施すべく準備しております。年度後半にも、一般の方がなかなか入れない施設見学と講演会を合わせたイベントを実施したいと構想しています。今後も年1~2回の視察を計画していく予定です。

 

▽公益事業の実施

県民一般を対象にした公益目的事業は、県に提出した公益目的支出計画に実施義務が明記され、年2回、定例講演会に読者を無料招待するという形で行ってまいりました。しかしながら、新型コロナ感染拡大の状況下では人が集まることに大きなリスクが伴うことや行政からの自粛要請、加えて講演会の開催方法がオンライン主体となったため、2021年度は読者招待を実施しませんでした。代替として収録した講演会映像を2週間の期間限定で3回、一般公開しました。

公益目的支出計画が21年度で終了し、実施義務はなくなりましたが、地域経済および地域社会の発展のため、22年度も可能な限り実施していきたいと考えております。内容によっては、会員外の参加者に聴講料のご負担も検討してまいります。