2023年度事業計画

2023年度事業計画

▽はじめに

 

1966年4月19日に神奈川新聞社の一部門として誕生した神奈川政経懇話会はことし57周年を迎え、全国の地方紙に設置されている政経懇話会では最も古い歴史を持ちます。国の公益法人改革を受け、2012年4月、社団法人から一般社団法人に移行しました。この時に資産と認定された公益目的財産1369万2569円は、公益目的支出計画により10年間かけて2022年3月末にゼロ以下にすることができ、同支出計画の完了確認を受けました。ただ、当会の定款には目的として「神奈川県の地域経済及び地域社会の発展に寄与」をうたい、事業に「会員及び一般県民を対象とする講演会、研修会を開催する」となっており、公益活動は継続してまいります。

 

会員あっての当会は、2023年度も神奈川新聞社との連携をさらに強化し、会員の皆さまが「入っていて良かった」と思える、魅力ある事業展開、組織運営に注力してまいります。ただ、会費で運営される当会にとって会員数の増強は組織運営の基盤強化につながり、さらに事業の充実を図る上で重要となります。このため、神奈川新聞社の協力の下、引き続き会員数の増強に力を入れております。

 

2022年度の事業実施は、新型コロナウイルスのワクチン接種による感染抑制、新たな行動制限は行わないとの政府の基本的対処方針に沿い、感染対策を行いながら、会員が出席するリアル方式での定例会(講演会・見学会)を12回実施できました。またユーチューブによる動画配信(後日に期間限定)も併用し、会場にいらっしゃれなくとも講演をお聞きできるように務めました。2023年度は、新型コロナの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられるのに合わせ、感染状況を見極めながら、リアル方式での開催を続けてまいります。

 

さて、2023年度の国内は、5類引き下げに合わせ、ウィズコロナによる経済・社会活動、市民生活の活性化がさらに進むと期待されています。一方で22年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米欧の金利上昇による世界的な景気後退リスクなどなど、日本を取り巻く情勢は厳しくなっていくと予想されています。

 

こうした中、県内では、2027年に横浜市で開かれる国際園芸博覧会(花博)とその後の街づくりに向けて基盤整備が進みそうです。3月に相鉄・東急直通線が開通し、都内からの利便性がアップし、会場となる上瀬谷地区への注目も高まることが期待されます。一方で、横浜みなとみらい21地区に世界最大の2万人規模のコンサートホールやホテルが秋にオープンするなど横浜の市街地も発展。新幹線新駅誘致を目指す平塚市と寒川町で計画されているツインシティーに大型ショッピングモールも誕生します。

 

政局に目を向けますと、最大の注目は4月の統一地方選です。知事選のほか相模原、平塚、大和などの市長選、県議・市議・町議選が行われます。

経済では、コロナ後の経済活動の本格化が期待される一方、エネルギー・物価高、コスト上昇、人手不足などが課題となりそうです。そのため、日銀の新総裁の手腕にも注目が集まりそうです。

国際社会では、ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、北朝鮮のミサイル問題、中台関係など、不安や緊張が続いています。米中の偶発的な衝突が起きないよう注意が必要で、5月に広島で行われるG7サミットでの議長国として日本がどこまでリードできるかも注目です。一方で、安保三文書に明記された「反撃能力の保有」と「防衛費倍増」に向けた防衛増税の議論も活発になりそうです。

 

こういう不安定な時代だからこそ、神奈川政経懇話会では会員のご期待に応えるべく、タイムリーで的確な情報を「目で伝える」会報や、「耳で伝える」講演会、「体で感じる」視察事業などを通じてお届けしていきます。また、これからも会員の皆様の声に耳を傾け、ご満足いただけるよう事業内容の改善にも努めてまいります。

 

▽定例講演会の開催

神奈川政経懇話会の事業の軸は、幅広い分野から講師を招いて毎月開催する定例講演会です。

2023年度

リアル形式での講演会を月1回開催し、ユーチューブによる動画(後日・期間限定)配信も可能な限り併用していきます。4月は創業130年を超える有名老舗の経営者3人によるシンポジウムを計画するなど、地元首長や政治家、国内外で活躍する経済人など神奈川ならではの講師を軸に招く方針です。一方で時宜を得た、評論家やジャーナリスト、研究者なども含め、会員企業・団体にとって経営(運営)のヒントにつながるような講演会にしていく所存です。「こういう人の講演を聞きたい」「こんなテーマで講演会を開催してほしい」という要望があれば事務局にお寄せください。

 

定例講演会は時局に応じたタイムリーな話題をお届けできるよう心掛けており、講師や演題は開催1カ月~1カ月半前の案内になります。会場選定にあたっては、これまで通り会員ホテル・ホールを中心としながらも、公立施設なども活用してまいります。

また、会員同士の交流機会の要望に応えるため、12月の会員交流会とは別に、講演会などに合わせて、交流会(簡単な食事会)を試験的に企画するなど情報交換の場としての機能も強化していく所存です。

 

▽会報の発行

年間21回発行している会報「政経かながわ」は、2023年3月28日号で通算2183号になります。誌面は、神奈川新聞社編集局幹部が輪番で執筆する「視点点描」、定例講演会の詳報、地元神奈川の経済ニュースを集めた「かながわTODAY」、県内の景気動向を見る「神奈川景気データファイル」のほか、共同通信社から記事を購入している政治、経済、文化各分野等の旬の情報、身近な話題の「くらし2023」、最新の技術や商品等を紹介する「企業最前線」などで構成されています。「かながわTODAY」には会員の事業活動なども収容しておりますが、さらに会員企業の新商品、人事などの情報を紹介する「会員コーナー」も拡充していきたいので、情報の提供をお願いします。

 

▽国内視察事業

22年度は、国内初の高層純木造耐火建築物や関東学院大横浜・関内キャンパス、相鉄・東急直通線の新横浜駅などの視察(見学)を行いましたが、23年度もeスポーツを初めて高等教育に取り入れた学校など、注目される施設の見学会を実施すべく交渉していきます。

 

▽公益事業の実施

県民一般を対象にした公益目的事業は、公益目的支出計画が21年度で終了し、実施義務はなくなりましたが、地域経済および地域社会の発展のため、今後も可能な限り実施していきたいと考えております。

これまでは、定例講演会に読者を無料招待するという形で行ってまいりました。しかし、コロナ禍では、人が集まることに大きなリスクが伴うため、22年度は収録した講演会映像を2週間の期間限定で6回(2023年1月末現在)公開し、延べ約1千人が視聴しました。23年度も同様の手法を取りながら、4月にも会場招待再開できるよう機会を探って参ります。

 

▽その他 2023年10月に始まる適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応し、適格請求書発行事業者の登録(T3020005010279)手続きを済ませており、同月から適格請求書を発行します。なお、当会は取材や寄稿、講演などを非課税事業者に依頼するケースが多いのですが、原則従来通りの報酬で行う予定です。ただ、神奈川新聞社や全国政懇協議会などと食い違いがないよう、情報交換しながら適宜対応します。