2014年7月講演会「政府の憲法解釈と集団的自衛権」/元内閣法制局長官、弁護士・坂田 雅裕 氏

日  時  2014年7月14日(月) 13時30分~15時

場  所  横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ 5階「日輪」

講  師  元内閣法制局長官、弁護士 坂田 雅裕 氏


 

 ▽国法は憲法、条約、法律、政令、府・省令・規則というヒエラルキーになっている。現行の法令数は60年前と比べ倍以上あり、8割前後が内閣の提出による。議員立法はわずかだ。法律は民主主義での統治の手段だ。
 ▽内閣提出案を閣議決定する前に本審査するのが内閣法制局だ。法律案などを審査し、意見を付し、所要の修正を加えて内閣に上申することが職務だ。政府の行為の憲法適合性も審査する。裁判所の憲法判断には限界があり、内閣の一機関として、どうすれば憲法に違反しないよう政策を実施できるか、法的枠組みの整備を行っている。
 ▽自衛隊はなぜ「戦力」ではないのか。国民の生命・財産を守るための「必要最低限度の実力」だからだ。集団的自衛権は、国際法上の権利で、ベトナム戦争やアフガニスタン攻撃などの事例がある。自衛権発動の3要件は、わが国に対する急迫不正の侵害、つまり武力攻撃の発生、排除するための他の適当な手段の有無、必要最小限度の実力行使の範囲内だ。
 ▽国連活動への参加は容認されているが、自衛隊の他国軍隊に対する支援活動では、武力行使および武力行使との一体化はだめだ。つまり、後方地域や非戦闘地域での補給、輸送等に限定される。では、憲法9条の解釈変更はなぜ許されないのか。正当な法的理論の有無、9条の空文化つまり規範性の喪失、立憲主義と法の支配の否定、国会での議論の積み重ね、最後に正規の改正手続きがあるからだ。