2013年11月講演会「安倍政権の改革の方向性と成長戦略」/東海大学教養学部教授・新保 恵志 氏

日  時  2013年11月26日(火) 13時30分~15時

場  所  横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ 4階「清流」

講  師  東海大学教養学部教授 新保 恵志 氏

 


 ▽日本経済はデフレ脱却の兆しを見せている。消費者物価は前期比0.9%上昇した。以前は輸出増に誘発された設備投資が成長のけん引役だったが、現在は円安で輸出は伸び悩んでいる。失業率は4%と先進国中で最も低いが、懸念材料は若年層の失業率の高さだ。大卒の1割弱が就職先未定で卒業している。
 ▽では、なぜ規制改革なのか。改革には競争したくないという事業者の意識、弊害を主張する既得権者の主張、役所の抵抗が強い。しかし守られた産業、企業は弱体化する。成長戦略は具体策に乏しく、今のところ看板倒れだ。財政の大盤振る舞いはできない。賃金もそう簡単には上がらない。消費税による税収増の使い方など政策課題は多い。
 ▽デフレ脱却のため名目成長率3%を達成するには、名目賃金上昇率6%が必要だ。1997年をピークに下がり続けている賃金の上昇が、短期的には不可欠だ。特に消費の活性化には、低所得者層での上昇が必要だ。
 ▽長期的に見ると、経済成長にはベンチャー企業や中小企業の育成が不可欠だ。教育や損失の所得控除の問題などがあり、育ってこなかった。費用対効果で減税すべきで、その減税も工夫が必要だ。