2018年9月の定例講演会/自民党総裁選と日本の行方/「インサイドライン」編集長・歳川隆雄氏

 

日 時  2018年9月19日(水) 午後1時30分~3時

会 場  ホテルモントレ横浜3階「ビクトリア」

講 師  「インサイドライン」編集長   歳 川 隆 雄  氏

 


 インサイドライン編集長の歳川隆雄氏が「自民党総裁選と日本の行方」と題して講演。歳川氏は自民党総裁選(20日投開票)について「安倍晋三首相(総裁)の連続3選は揺るがない。問題は勝ち方だが、石破茂元幹事長が善戦している」と話した。

 講演要旨は次の通り。
 ▽今月下旬の日米首脳会談は、アメリカとの貿易協議の先行きを決める重要な場だ。そこでトランプ大統領から、アメリカ向け自動車輸出に対する25%の追加関税を通告されることがワーストシナリオ。そうならないように安倍氏はトランプ氏を説得しなければならない。
 ▽総裁選は安倍氏の3選は揺るがない。焦点は石破氏が地方票をどれだけ獲得するかだ。それが今後の政局の行方を左右すると言っても過言ではない。石破氏が善戦すると、「石破氏応援なら辞表を書けと言われた」と発言した斎藤健農水相を更迭することもできない。
 ▽総裁の任期は2021年9月20日。現在の衆院議員の任期は同年10月21日。任期いっぱい務めると、安倍氏の次の総裁は独自性を出せないまま就任1カ月後に総選挙を行うことになる。与党としてあり得ない政治手法だ。そうなると安倍氏の任期途中の解散総選挙か、総裁任期の1年前倒しが考えられる。
 ▽安倍氏は何を残そうとしているのか。それは①憲法改正②脱デフレ宣言③日朝、日ロ関係の外交的成果④天皇退位と新天皇即位⑤社会保障制度の抜本改革-だ。安倍氏は悲願の憲法改正を争点に、20年の東京五輪後に総選挙を行い、勇退する可能性はゼロではない。自らの手によらなくても引き金は自分が引き、次期政権下で憲法改正を進めることもあるのではないか。

 

 

としかわ・たかお 1966年上智大学入学。70年同大学中退後、「週刊ポスト」記者を経て81年からフリージャーナリストとしてジャーナリズムの第一線で活躍。現在は「インサイドライン」編集長としてマスメディアが伝えないナマの情報を取材・執筆して、問題の核心に迫る。専門の日米関係、朝鮮半島情勢などホットな国際問題を、真摯で粘り強い取材を重ねながら、独自の視点で分析。政治・社会問題にメスを入れるだけでなく、東洋経済アメリカ発行の「The Oriental Economist Report」の東京支局長として経済問題も鋭く分析。活躍の場は幅広く、各種メディアでの歯切れのいい論調、発言には定評がある。

著書に「安倍政権、365日の激闘」(東洋経済新報社)、「自民と民主がなくなる日―永田町2010年」(幻冬舎新書)、「権力抗争のウラを読む人事ファイル」(にんげん出版)、「永田町動乱」(実業之日本社)、「日本の危機管理」(共同通信社)、「大蔵省権力闘争の末路」(小学館)、「疑惑官僚」(東洋経済新報社)、「機密費」(集英社)、「外務省の権力構造」(講談社)など多数。