2017年4月講演会「トランプ米政権でどうなる世界と日本」/国際ジャーナリスト ・春名 幹男氏

日 時  2017年4月12日(水) 午後1時30分~3時

場 所  崎陽軒本店 5階  「マンダリン」

講 師  国際ジャーナリスト 元早稲田大学大学院客員教授    春名 幹男 氏

 


 

 ▽なぜ、トランプ政権はシリアを攻撃したのか。(挑発行動を続ける)北朝鮮へのメッセージではなかったのか。子どもたちがサリンとみられる爆弾で死亡する映像が流れ、実際に使われたかどうか調査中なのに、48時間後にはトマホーク59発で攻撃した。トランプ氏は残酷な映像を見て、違法な化学兵器の使用には決然と行動すると言っている。
 ▽トランプ氏の支持率は先週の段階で40%を下回っている。大統領の支持率は、ハネムーン期間と呼ばれる就任直後は60%以上が普通だ。トランプ氏は非常に低い。国民の目を、成果が期待できない米中首脳会談からシリアへの攻撃に向かわせ、人気を取り戻そうという狙いがあったのではないか。ロシアとはオバマ政権時代と同じ厳しい関係になった。
 ▽トランプ政権が北朝鮮に攻撃を仕掛けることは難しい。ただ安倍首相に対し「全ての選択肢はテーブルに乗っている」と伝えている。全ての選択肢とは(1)在韓米軍の基地に核兵器を再配備(2)金正恩(キム・ジョンウン)委員長の命を狙う(3)サイバー攻撃などの秘密工作-だ。
 ▽中国にとって北朝鮮は存在するだけで利益。米軍は韓国全域に展開しているが、北朝鮮が崩壊すると米軍は中国の国境まで来る。北朝鮮は緩衝地帯にすぎないが、これを守ることは中国の大方針。金正恩体制になってから5年になるが、習近平国家主席とは一度も会っていない。

 

はるな・みきお 1946年京都市生まれ。69年大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。同年共同通信社入社。ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て、93~96年ワシントン支局長。98年論説副委員長、2004年特別編集委員を歴任。07年退社。名古屋大学大学院教授就任。10年早稲田大学大学院客員教授および名古屋大学特任教授就任。12年名古屋大学特任教授を任期満了により退任。13年から現職。1995年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2004年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル-CIAの対日工作』(共同通信社)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)など。