2015年10月講演会「どうなる日本経済と世界」/㈱双日総合研究所副所長、チーフエコノミスト・吉崎 達彦氏

日 時  2015年10月8日(木) 13時30分~15時00分

場 所  ホテル、ニューグランド 3階「ペリー来航の間」

講 師  ㈱双日総合研究所副所長、チーフエコノミスト      吉崎 達彦 氏

 


 

 ▽TPPのフルテキストはまだ発表されていない。合意したとはいえ、これを条約にするには相当な時間がかかる。米国の貿易促進権限(TPA)法には議会に法案を提示する際の「90日ルール」がある。10月初めの合意なのでオバマ大統領の署名は3カ月後の来年1月になる。
 ▽日本の批准作業も来年からになる。年明けの通常国会は2016年度予算案から審議する。それが終わり4月に入ってから批准という極めて政治的な作業に踏み込むと、目の前には参院選がある。一体どうやってこの問題をクリアするのか。安倍内閣にとって頭の痛いところだ。
 ▽TPPが発効するのは17年になるのではないか。これからのポイントは他の国の動向だ。特に日本の自動車会社にとってはタイに加わってもらった方がいい。タイは製造拠点だが原産地規制の問題があり、タイで生産されたものがTPPの中でカウントできるようにしたい。問題は中国の態度。自前の経済圏をつくるため、アジアインフラ投資銀行など独自の道を歩むのではないか。
 ▽第3次安倍改造内閣が発足した。新しい三本の矢である1億総活躍社会で(1)強い経済(2)子育て支援(3)社会保障を掲げる。少しうがった見方をすれば、安保法制で失った女性票を取り返しにきているのかな、ともとれる。アベノミクスは期待に働き掛ける政策。新しい三本の矢はいずれも重要だが、わくわくさなどが足らない印象がする。