2015年5月講演会「日本人がテロの標的に 世界を揺るがすイスラム国の脅威」/共同通信社客員論説委員、星槎大客員教授・佐々木 伸氏

日 時  2015年5月13日(水) 13時30分~15時00分

場 所  ホテル横浜キャメロットジャパン 5階 「ジュビリー」

講 師  共同通信社客員論説委員、星槎大客員教授 佐々木 伸 氏

 


 

 ▽今年は三つのテロの衝撃が世界を襲った。パリの新聞社襲撃、日本人人質殺害、チュニスの博物館襲撃事件だ。イスラム国の狙いは、世界に存在と実力を示すことと、組織の内部引き締めにある。中東だけでなくインドネシア、フィリピンなどアジアにも信奉組織が広がっており、日本人は今や米英と同じ標的のトップだ。
 ▽後藤健二さんの事件で政府は検証委員会をつくったが、疑問は多い。安倍首相の言動が利用され、水面下の人質解放交渉があったのかどうか、だ。日本ではオリンピック、サミットなどの開催が予定されており、国内でのテロの可能性も否定できない。巻き込まれないために危険地域には行かない、など回避の7カ条を徹底すべきだ。
 ▽イスラム帝国の再興を目指すイスラム国は国家をつくり、領土を持ち、組織を動かしていることが、他の過激派組織とは違う点だ。オバマ大統領は対応を誤った。空爆では壊滅できない。地上部隊が必要。中東、アフリカにイスラム国が分派をつくり、リビア、イエメンで新たな戦線が組まれているからだ。
 ▽イエメン情勢は、イランとサウジの代理戦争だ。シーア派のイランが支援するフーシ派が首都を制圧、政権を掌握した。もともとイエメンを支援していたスンニ派のサウジが空爆を始めた。サウジは米国のイラン接近に激怒しており、核の保有も考えている。中東はこれまでのアラブ対イスラエルの図式からイラン対アラブとイスラエルの図式に変わってきた。